CMSが2027年度診療報酬改定案を公表 医師報酬引き下げとACO優遇を打ち出す

米国メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)は2027年度の医師診療報酬改定案を公表した。今回の改定では、医師報酬の引き下げが盛り込まれた一方で、価値に基づく医療(Value-Based Care)の中核を担うAccountable Care Organization(ACO)への支援を大幅に強化する内容となっている。

さらに、長年運用されてきた医療の質評価制度「MIPS」の段階的終了や、電子的事前承認(Electronic Prior Authorization)の義務化、340B医薬品データ報告の義務化など、医療提供体制全体に影響を及ぼす制度改革も数多く盛り込まれた。

目次

医師報酬は2027年に引き下げへ

改定案では、2026年末で終了する一時的な2.5%の報酬上乗せ措置が失効することを受け、医師報酬は実質的な減額となる。

高度な支払モデル(Advanced Payment Models)へ参加する医師の換算係数は約1.19%減、それ以外の医師は約1.68%減となる見込みである。

CMSは「医師報酬制度の近代化」を掲げているが、多くの医療機関では経営への影響が懸念されている。

ACOへの支援を大幅強化

一方で、CMSはACOへのインセンティブを拡充する方針を示した。

小規模病院や地方医療機関、医師主導型ACOを対象に、成果報酬率の引き上げや新たな評価制度を導入するほか、患者の自己負担軽減につながる制度も提案している。

さらにACOへ参加する医師には、継続的な患者管理を評価する新たな加算も設けられる予定であり、価値に基づく医療への移行をさらに後押しする内容となっている。

MIPSは段階的に終了

2017年から続いてきた医療の質評価制度「MIPS(Merit-based Incentive Payment System)」についても、大きな転換点を迎える。

CMSは2028年度を最後に従来型MIPSを終了し、2029年以降は疾患別・診療科別に最適化された「MIPS Value Pathways(MVP)」へ一本化する方針を初めて正式に示した。

医療機関には今後数年間で新制度への移行準備が求められる。

電子的事前承認が事実上義務化

近年進められてきた電子的事前承認(Electronic Prior Authorization)も、今回の改定案で大きく前進した。

2027年は評価項目として運用されるものの、2028年以降は電子的事前承認の実施が必須となる見込みである。

対象は診療行為だけでなく処方薬にも拡大され、電子カルテとの連携やAPIを活用した申請体制の整備が求められる。

340B制度は報告義務化へ

340B医薬品プログラムについても、これまで任意だったデータ提出が義務化される。

対象医療機関は340B価格で提供された医薬品について、処方情報や薬局情報など詳細データを四半期ごとにCMSへ提出しなければならない。

報告義務を怠った場合には、メディケアへの参加資格停止など厳しい措置が科される可能性もある。

「出来高払い」から「価値評価」へ

今回の改定案全体を通して見えてくるのは、出来高払い中心の医療から、価値や成果を重視する医療への転換である。

CMSは重複請求の是正や遠隔モニタリング報酬の見直し、診療報酬の適正化を進める一方で、患者管理や地域連携、慢性疾患対策などを重視する制度へ予算配分を移そうとしている。

医療機関にとっては、診療報酬だけでなく経営戦略や情報システム整備、人材育成まで含めた対応が求められる大きな制度改正となりそうだ。


出典
Becker’s Hospital Review
「Physician pay drops, ACOs gain under CMS’ 2027 proposal: 8 things to know」

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