ハンタウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「MV Hondius」が、スペイン領カナリア諸島・テネリフェ島へ向かっている。
これまでに3人が死亡し、複数の感染者が確認されていることから、スペイン当局は厳戒態勢での受け入れ準備を進めている。
一方、WHO(世界保健機関)は、「一般市民へのリスクは低い」 「これは新たなCOVIDではない」
と強調している。
しかし感染者がすでに複数国へ移動していたことも判明しており、各国当局は接触者追跡を急いでいる。
集団感染が起きたクルーズ船とは
問題となっているのは、オランダ船籍の探検クルーズ船「MV Hondius」だ。
運航会社Oceanwide Expeditionsによると、船内ではハンタウイルス感染が確認され、これまでに3人が死亡している。
さらに、船を途中下船した5人に感染が確認されている。
現在、140人以上の乗客・乗員を乗せたまま、船はスペイン領テネリフェ島へ向かっている。
スペイン当局が“完全隔離”で対応へ
テネリフェ島で厳戒受け入れ
スペイン当局は、船が到着予定のテネリフェ島で厳戒態勢を敷いている。
スペイン緊急当局トップのバルコネス氏は、
「完全に隔離された封鎖区域へ移送する」
と説明した。
具体的には、
- 小型ボートによる分散下船
- 専用バスによる移送
- 空港動線の封鎖
- 一般市民との接触遮断
などが計画されている。
さらに、症状が出た場合へ備え、医療設備を備えた航空機の要請も行われている。
米英は自国民専用機を派遣
アメリカ人17人は“隔離ユニット”へ
米国は、船内にいる17人の米国人を帰国させるため専用機を派遣する。
帰国後は、
「ネブラスカ大学医療センター(University of Nebraska Medical Center)」
の国家隔離ユニットへ搬送される予定だ。
この施設は、
- エボラ患者
- 初期COVID患者
の隔離治療にも使用された高度感染症対応施設として知られている。
ネブラスカ・メディシンCEOのマイケル・アッシュ医師は、
「我々はまさにこうした事態へ備えている」
とコメントしている。
英国も専用チャーター機派遣
英国政府も約20人の英国人乗客避難のため、チャーター機派遣を決定した。
現在、英国人乗客3人が感染疑いまたは感染確認状態にある。
WHO「新たなパンデミックではない」
“COVID再来”への不安を否定
今回の報道を受け、一部では「新たなパンデミックではないか」との不安も広がった。
しかしWHOは、
「一般市民へのリスクは極めて低い」
と説明している。
WHO報道官クリスチャン・リンドマイヤー氏は、
「これは新しいCOVIDではない」
と強調した。
ハンタウイルスとは何か
ハンタウイルスは主に、
- ネズミなどげっ歯類の排泄物
- 汚染された粉塵
を吸い込むことで感染するウイルスだ。
通常は人から人へ感染しにくい。
しかし今回確認された「アンデスウイルス型」は、極めて稀に人から人へ感染する可能性が指摘されている。
症状は通常、
- 発熱
- 筋肉痛
- 倦怠感
- 呼吸障害
などで、重症化すると致死率が高くなる場合もある。
潜伏期間は1〜8週間とされる。
世界4大陸で接触者追跡へ
“感染判明前”に乗客が各国へ移動
今回、各国当局を緊張させているのが、
「感染確認前に多数が下船していた」
点だ。
報道によると、4月24日には少なくとも12カ国以上の乗客が追跡なしで下船していた。
WHOがハンタウイルス感染を正式確認したのは5月2日だった。
つまり、それ以前に複数国へ感染者が移動していた可能性がある。
現在、各国保健当局は接触者追跡を急いでいる。
航空機内接触も問題に
客室乗務員感染疑いで緊張
特に注目されたのが、KLM航空便での接触事例だ。
感染していたオランダ人女性乗客は、南アフリカ・ヨハネスブルグ発アムステルダム行き便へ一時搭乗していた。
女性は途中で容体悪化し、ヨハネスブルグで降機後死亡した。
その後、担当していた客室乗務員が体調不良となり、一時は感染疑いが浮上。
しかしWHOは、
「検査結果は陰性だった」
と発表した。
これにより、航空機内感染への過度な懸念はやや後退した。
英国領孤島でも感染疑い
英国保健当局はさらに、
「トリスタンダクーニャ島」
に滞在している英国人乗客1人にも感染疑いがあると発表した。
同島は南大西洋にある世界でも最も孤立した有人島の一つであり、医療資源が限られている。
スペインでも感染疑い浮上
スペインでも、アリカンテ州の女性1人が感染疑いとして検査を受けている。
この女性は、死亡したオランダ人女性と同じ航空便へ搭乗していた。
「世界的感染拡大」より問題なのは何か
現時点でWHOは、
- 一般感染拡大リスクは低い
- パンデミック懸念は低い
としている。
しかし専門家は、
「国際移動時代における感染症追跡の難しさ」
を改めて浮き彫りにした事例だと指摘している。
特に今回は、
- クルーズ船
- 複数国移動
- 航空機
- 孤立地域
が絡み、接触追跡が非常に複雑化している。
クルーズ船感染症問題は“COVID後”も続く
COVID-19以降、クルーズ船は感染症対策強化を進めてきた。
しかし今回の事例は、
「新型コロナ以外でも、国際クルーズは感染拡大リスクを抱える」
ことを再認識させる形となった。
特に、
- 潜伏期間の長い感染症
- 初期症状が曖昧な感染症
では、早期発見が難しい。
まとめ
ハンタウイルス感染が発生したクルーズ船「MV Hondius」は現在、スペイン・テネリフェ島へ向かっている。
これまでに3人が死亡し、複数国で感染疑い者が確認されるなど、国際的な追跡対応が続いている。
一方でWHOは、
「これは新たなCOVIDではない」
と強調しており、現時点で一般市民への大規模リスクは低いとしている。
しかし今回の事例は、
- グローバル移動社会
- クルーズ観光
- 国際感染症管理
の難しさを改めて示すケースとなった。
今後は、感染者搬送後の各国対応や、船内感染経路の詳細解明が焦点となりそうだ。
出典
Oceanwide Expeditions
Associated Press
“Spain readies for evacuations as a hantavirus-hit cruise ship heads for the Canary Islands”
World Health Organization(WHO)
Nebraska Medicine


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