ノルウェーにおける留学動向が大きく変化しています。2025年には過去最多となる学生が海外で学ぶ一方で、留学先の選択に明確な変化が見られています。本記事では、University World Newsの報道をもとに、その特徴と背景を整理します。
留学者数は過去最多に
2025年、ノルウェーから海外へ交換留学した学生は8,159人に達し、過去最高を記録しました。
交換留学は通常1学期間程度の短期留学を指し、学生の国際経験の機会として重要な役割を担っています。
ノルウェー高等教育・技能局(HK-dir)によると、この増加は国際的な不安定さが続く中でも、学生が海外志向を維持していることを示しています。
ヨーロッパ志向の強まり
留学先として最も顕著な変化は、ヨーロッパへの集中です。
2025年には、全体の55%の学生がヨーロッパを選択しており、10年前の約40%から大きく増加しました。
明確な“欧州回帰”の傾向
この背景には
- 地理的な近さ
- 安全性
- 学費制度
など複数の要因があります。
イタリアの急増
特に目立つのが南欧諸国の人気上昇です。
中でもイタリアは、過去10年で留学生数が158人から866人へと増加し、約448%の成長を記録しました。
現在では、オーストラリアに次ぐ第2位の留学先となっています。
フランス、スペインも同様に人気が上昇しており、南欧全体への関心の高まりが見られます。
英語圏の人気低下
一方で、従来人気の高かった英語圏の国々では減少が続いています。
■ アメリカ
2016年には約1,200人が留学していましたが、2025年には532人に減少し、10年で半減しました。
イギリス
2016年には上位の留学先でしたが、2025年には10位まで順位を下げています。
カナダ
過去10年で約50%減少しています。
オーストラリア
依然として最多の留学先ではあるものの、前年比で12%減少しています。
減少の背景
英語圏離れの主な要因として、以下が挙げられています。
- 生活費の上昇
- 学費の負担
- 為替(ノルウェークローネ安)
- ビザ費用の増加
特に遠距離留学のコスト増が影響
また、アメリカについては政治的な不安定さも指摘されていますが、減少傾向自体は2016年から続いており、単一の要因では説明できないとされています。
Erasmus+の影響
ヨーロッパ志向を支えている大きな要因が、EUの教育プログラム「Erasmus+」です。
2025年には
- 留学者の約半数がErasmus+を利用
- ヨーロッパ留学者の89%が奨学金を受給
経済的メリットが大きい
さらに
- 学費免除
- 月額奨学金(約5,000ノルウェークローネ)
- 追加の渡航支援
制度面で欧州が有利
英語プログラムの増加
ヨーロッパでの人気上昇には、英語で受講できるプログラムの増加も影響しています。
特にイタリアでは英語プログラムが急増しており、言語の壁が低下しています。
また、スペインについては、もともとノルウェーの学生にとって人気のある外国語であるため、学習障壁が比較的低いとされています。
アジアの台頭
ヨーロッパ以外では、アジアへの関心も高まっています。
過去10年で23%増加しており、特に以下の国が注目されています。
- 日本
- 韓国
- 中国
- 香港
新たな選択肢として拡大
今回の動向の特徴
今回のデータから見えるのは
単なる増減ではなく、留学先の“構造的変化”
具体的には
- 欧州への集中
- 英語圏の相対的低下
- コスト・制度の影響
現実的条件に基づく選択の変化
■ まとめ
ノルウェーの留学動向は、過去最多の留学者数を記録する一方で、留学先の選択に大きな変化が見られています。
ヨーロッパへの集中が進み、特に南欧諸国の人気が急上昇する一方で、アメリカやイギリスなどの英語圏は相対的に魅力を失いつつあります。
この背景には、コストや制度、国際環境といった複数の要因があり、学生の選択がより現実的な条件に基づくものへと変化していることが示されています。
出典
本記事は、Jan Petter Myklebustによる
University World News(2026年3月12日)
の報道をもとに再構成しています。


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